駆除

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ミキ自身の悠久の記憶? どうやらそれが、人間嫌いに起因しているらしいが……。 それってつまり、前世での記憶って事? 話が一向に繋がらない。 「ミキ テメェ、今何の話をしている?」 「黙って聞いておれ 余のこの記憶はな 汝が住んでいた時代の記憶である」 地球からの記憶だと? 何故ミキに、そんなものが宿っているんだ? 記憶であれ何であれ、太古の時代の物が、この時代に来るなんて事が有り得るのか? いや……。 有り得るな。 俺自身、太古からこの時代に転送させられた身だ。 理屈はそれで十分だろう。 って事はつまり……。 まさか、ミキの奴……。 俺が、とある可能性を考えた時。 ミキは続ける。 「汝等人間は、 "与えられざる者" などと、呼ばれているらしいな だが、余の記憶によればそれは間違いだ」 「なに?」 「実際のところ人間は、 "与えた側の立場"なのだ」 ん? 「与えた? 一体何に」 俺の問いに、ミキは衝撃的発言をする。 「この世に蔓延る "叡人"及び"獣人"、その亜種の"魔人"にだ 彼の人種に、特筆すべく力を与えたのは人間だ これらは全て、太古の人間の手によって生み出された」 は!? 戸惑う俺を余所に、ミキは続ける。 「そして余の一族は、その過程で人種開発の礎とされ利用され続けた」 ちょっと、何言ってんだコイツ。 頭が追い付かないんだけど……。 えーと、えーと……。 俺は必死に思考し、その末にある考えにたどり着いた。 それをミキに問う。 「ミキ テメェのその記憶とやらは、一体何の生物によるものだ?」 「汝の時代でいうところの"ネズミ"だ 思うところがあるのだろう? 汝等人間が、ネズミに対してどんな所業を行ってきたかを」 あー。 なるほど。 つまり、実験に使われるモルモットって訳だな。 確かに人間は研究の為、事ある実験の度にネズミを利用してきた。 ネズミからしたら、たまったもんじゃないだろう。 この記憶をミキが有しているから、ミキは人間嫌いになっているのか。 そして、そんな扱いをしてきた太古の人間と同種の俺を恨んでいる訳だ。 OK! 理解した。 まぁ、俺にとってはだからなんだという話だがな。 で、今の話から浮上した疑問だが……。 「ミキは、なんで太古の記憶を有している? そして、人間が人種開発していたってのはどういう事だ?」
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