駆除

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俺の疑問にミキは、先ず記憶を宿した原因についてから答えた。 っていうかコイツ、思ったより話してくれるな。 「余に何故太古の記憶があるのかは、定かではない ただ言える事は、この記憶は余が玉璽を宿したと同時に得たものだ」 ふむ……。 記憶を得た原因は、ミキ自身にも分かってはいないのか。 分かっているのは、ミキが"獣の王"になった時に得たという事らしい。 ミキはつづける。 「その時、余は悟ったのだ この玉璽は、人間を滅ぼす為に宿した力だとな」 あらら……。 ミキの奴、玉璽を宿したその意味を、あらぬ方向へ自己解釈している。 「人間を滅ぼしてどうするつもりだ? ネズミーランドでも建国するのか?」 「フン それも悪くない だがな、余には確固たる責任がある」 「責任?」 「人間は危険だ この人種を放っておけば、いずれ世界は再び闇へと覆われるだろう かつての、汝が居た時代の様にな」 「つまり、世界を守る為に人間を滅ぼすのか?」 「そうだ 手始めにラロの連中共を、ニルヴァーナを利用して滅ぼしてみたが…… ククク…… あれは実に愉快であった」 なんだと? コイツ……! ラロの民を滅ぼしたのは、やっぱりミキの仕業だったのか。 「何故ニルヴァーナを利用できた?」 「あやつは、太古の技術を恐れておる それを復活させようとする輩が居れば、民諸共消し去るのは必至であろう」 「テメェ…… ラロの民はお前の事を崇拝していたんだぞ?」 「あぁ、知っておるとも だから、その信仰心を大いに利用させてもらった 馬鹿な連中だ」 コイツ……。 自分の信者達でさえ、人間であれば平然と手を下すのか……。 余程の人間嫌いだな。 もう、矯正は不可能か。 「これからも、人間を殺していくつもりなのか?」 「無論だ 先ずは汝から、殺してくれよう」 クソ……。 この調子では、人間嫌いは直りそうにないな。 ミキを放っておけば、あらゆる手を使って再びニルヴァーナを利用されかねない。 そうなれば、ラロの民の二の舞だ。 それだけは、阻止せねば……。 と、俺が思った時。 ミキはまるで、俺の考えを読んでいたかの様に続けた。 「が、今となっては ニルヴァーナはもはや使えぬ 奴は、かつての力を失い弱り切っておるからの 全盛期には100体以上に居た数も、とうとう最後の1体となってしまった」 ん!?
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