後悔

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忘れもしない。 あれは俺が入隊してから5年……。 いや、6年だったか? まぁ、とにかくそれくらい経ったある日。 俺は階級が伍長となった。 その日はいつもの様に訓練場に赴き、戦車に搭乗していた。 戦車に搭乗していた連中は全部で3人。 司令手(コマンダー)兼 通信手(オペレーター) 砲手 (ガンナー)兼 装填手(ローダー) 操縦手(ドライバー) だ。 最新型の10式戦車(ヒトマル)。 戦うコンピューターと言われる世界的にも高性能な、日本の技術の粋を結集して製造された戦車だ。 俺も男だ。 こういう浪漫の詰まった機械は嫌いじゃない。 というか普通に格好いい。 で、 俺は操縦手を務める事になった訳だが。 いつもと違う事が一つあった。 それは俺の階級が上がった事を機に、小隊を再編成した事だ。 つまり、3人は全員初対面。 この小隊がチームとして機能する為には、訓練を何回か重ねる必要がある。 平和な日本で、その訓練を行う事に関しては余裕も猶予も十分にあった。 というかそもそも、小隊が機能する様になった所で、それが活かせる場があるのか? この平和ボケした国で、戦車を使う実戦的な出来事が起きる事は未来永劫無い。 と、断言していたあの頃の俺を殴りたい。 その時は直ぐに訪れた。
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