駆除

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洞窟内に、発砲音が響き渡った。 と、同時にミキは悲痛な声を漏らす。 「ぐぉ!?」 俺が狙ったのは、ミキの足だ。 ただ殺すだけでは芸がない。 痛みは与えてやらねぇとな。 銃弾が勿体無いが、それでもミキの奴には、俺が受けた痛みを感じてもらわねぇと気が済まない。 洞内は音が良く響く。 その音に、ミリアは驚いていた。 「な!?」 無理もない。 ミリアに拳銃を披露するのは、初めてだからな。 銃の特性を目の当たりにしたこの時代の連中は、誰しもが最初は驚く。 それは、ミリアも例外ではなかった。 「カ、カズ!? 今、一体何をしたのだ!?」 いい加減にその質問も、聞き飽きたな。 いつもは魔術だと、適当に誤魔化していたが、ミリアはその辺の事情も知っている。 俺は正しく答えた。 「銃で撃ったんだよ これが、かつての人間が有した武器だ 威力、弾速、共に申し分ない しかも、使用者の体力が削られる事もない」 「な、なんと…… 予想以上の代物だな で、ミキはどうなったのだ!?」 ミリアはミキを確認する為、目視する。 ミキの容態を知っていた俺は、そのまま答えた。 「まだ、生きてるよ 今はな 足を潰した もう動けないだろう」 「ぐうぅ……」 苦しそうに悶えるミキ。 そんなミキの姿を見て、ミリアは。 「ミキ……」 心配そうに呟いた。 ミリアは優しいからな。 殺しに来たとはいえ、その対象が哀れな姿をさらけ出していては、多少心がぐらいついても不思議はない。 ないのだが……。 俺から言わせれば、覚悟が足りてない証拠だ。 「ミリア ミキのしてきた事は人類にとって、脅威だ 慈悲は捨てろ」 俺の叱責にミリアは。 「あ、あぁ…… そうであったな 私とした事が、済まなかった 悪く思うなよミキ」 どうやら、当初の目的を思い出して、心を持ち直したみたいだ。 よし、それでいい。 「ミキ 死ぬのはテメェだ 俺を襲った事を後悔させてやる」 俺はミキに宣戦布告する。 「ほざけ…… 人間の分際で、余を愚弄するとはいい度胸だ 汝等には、死より恐ろしい目に合わせてやる」 ミキは怒り狂った声で、そう言うと、そのまま続けた。 「出でよ "オーガスト"」
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