駆除

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俺の発言にミリアは。 「な、なんだと!?」 驚きを露わにした。 まぁ、ミリアからすると俺は脆弱な人間だからな。 しかも、初対面時の俺は、強さとはかけ離れたボロボロの姿だった。 ミリアの俺に対する印象は"弱い奴"だったんだろうな。 強い奴だと認識されるのも、それはそれで困りものだが……。 今は状況が状況だ。 ここは、俺の持つ"強さ"に頼ってもらおうか。 「だから、任せろ 俺ならオーガストに対抗できる」 言って俺は、オーガストと向き合った。 すると。 「待て、カズ」 ミリアが呼び止めた。 「なんだ?」 「仮に、カズが獣化人より強かったとしてもだ それでは、事態の解決にはならん」 は? 解決はできるだろ。 俺が、オーガストを殺せば済む話だ。 「何が言いたい?」 「我々がミキに、人質を取られている事実は変わらぬ」 なるほど。 それがミリアの言い分か。 強さを有しているからといっても、それを行使する訳にはいかない、と。 どうしても、"人"を殺めたくはないらしい。 それは俺も同意見だ。 人殺しなど言語道断。 だがな。 「ミリア あれはもはや人じゃない」 俺は無情かも知れないが、はっきりと言った。
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