駆除

29/57
前へ
/805ページ
次へ
俺の説明にミリアは。 「"戦う"……」 そう呟いて、何かを感じた様子を見せた。 よし、手応えありだ。 俺は続ける。 「ミリアは強いし、優しい心もある だがな、戦いには少なからず非情さも必要だ ミリアのその"優しさ"という強さでは、この事態は収束できないぞ」 「むぅ……」 ミリアは馬鹿ではない。 俺の言った事は、きちんと理解した様子だった。 が、やはりどこか納得しきれていない。 まぁ、必ずしも納得してもらう必要はないんだがな。 ミリアの優しさは、本当の意味での"強さ"だ。 その強さは大事にしてもらいたい。 俺はミリアの立場も尊重して、言った。 「だが、俺はそんなミリアの優しさに助けられた そこは感謝している だから、ミリアは自分の信じる事を成せばいい」 「どういう事だ?」 「オーガストを殺したくないんだろ? なら、それでいい ミリアが手を汚す必要はない オーガストは俺が勝手に殺す それだけだ」 「…………」 ミリアはしばらく沈黙した後。 「いや、私も共に戦おう」 なにやら、考え抜いた様子でそう答えた。 ミリアの表情は、覚悟を決めた者の顔だった。 「何故だ? 無理はしなくて良いんだぞ?」 一応、確認する俺。 「無理などしてないさ 私は覚悟が足りてなかった様だ それに……」 ん? 「それに?」 「いつになるだろうか…… 似たような事を"妹"に言われた事があってな "優しいだけでは、何も守れない" とな」
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加