駆除

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オーガストが俺達に襲い掛かる。 「グァア!!」 あの爪に引っかかれでもしたら、切り傷じゃ済まないだろうな。 俺の迷彩服がいかに丈夫だと言えども、腕ごと切り落とされる。 「ミリア! 下がってろ!」 「うむ 無理はするなよ」 俺がミリアを下がらせたのは、作戦の内だ。 共に戦うと言っても、いきなり連携が取れる訳ではないからな。 先ず、ミリアには待機をしていてもらい、オーガストの動きが解析できた頃に、攻撃の指示を俺が出す。 そんな感じの流れだ。 ミリアも俺の作戦を理解していた様で、速やかに後ろに下がった。 さて……。 そのオーガストの動きを、どう捉えるかだが……。 その手段は言わずもがなだ。 「リコ!」 こういう時に、リコの真価が発揮されるというもの。 「はい、マスター!」 「オーガストを殺す 指示を出せ」 「了解です! とりあえず、今の攻撃を避けましょうか! あの、動きは…… 筋肉の緩急具合に、関節的構造、力の向き それに外的な要因、慣性、重力、足場の抵抗など加味すると…… ふむふむ…… マスター! 右足を半歩引いて、体の向きを90度変えて下さい!」 「了解」 俺は言われたまま、リコの指示する動きをとった。 すると。 俺の目の前を、どえらい速さで剛腕が通り過ぎる。 ウヒョー。 「グァアアァ!!」 攻撃を避けられたオーガストは激昂し、唸り声を上げる。 と、同時に伸ばした腕にぐっと力を込めていた。 「マスター! 中腰で伏せて下さい!」 「あいよ」 俺が身を低くしたその瞬間、丸太の様な腕が俺の頭上をかすめる。 オーガストが、伸ばしたままの腕を振り回したんだな。 と、俺が攻撃を理解したのは、避ける事ができた後だった。 ウヒョーー。 怖い怖い。 リコの的確な指示がなければ、初撃でお陀仏だな。 そして。 「マスター! 対象に約2秒間の隙が生まれました! ナイフで斬撃してみて下さい!」 ん? 銃撃じゃないのか? まぁ、リコがそう言うなら、素直に従っておこう。 自らの攻撃による勢いで、一時的に膠着してしまっているオーガスト。 俺は態勢を戻し立ち上がると、オーガストの背中をナイフで一閃する。
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