駆除

37/57
前へ
/805ページ
次へ
まさか、そんな理由があったとはな……。 「ミリア 酸は止めだ」 「それが良さそうだな」 リコの指摘を受けて、ミリアは酸による攻撃を中止した。 じゃあ、後残っているミリアの攻撃手段だが。 毒か……。 まぁ、さっきの酸の件もあるしな。 一応、毒についてもリコに聞いてみるか。 「リコ ミリアの毒は使えると思うか?」 「はい! ミリアさんの毒は以前解析しておきました!」 ん? あぁ、ミリアが俺に毒を披露する際に、自慢気に吐いて見せた時か。 地面に吐かれた時は、流石に引いたが。 あの時リコは、毒の成分を解析していたって訳か。 流石、抜かりないな。 「解析結果は?」 「はい! ミリアさんの持つ毒は、"神経毒"の類でした!」 「つまり?」 「つまり、その毒を対象に与える事ができれば、麻痺させ、動きを封じる事ができる筈です」 ふむ。 それは願ってもない。 そこで問題なのが、どうやって毒をオーガストに与えるかだが……。 その辺はミリアに任せるか。 「ミリア 今のを聞いていたか?」 「あぁ、任しておけ "魔人術"『毒霧』!!」 言ってミリアは息をすぅと吸い込むと、口を噤んだ。 のも、束の間。 それをオーガストに向け、一気に吐き出した。 ミリアの口から吐かれたそれは、息ではなかった。 紫色に染まった毒々しい霧だ。 あれがミリアの毒による攻撃か。 なるほど。 毒が霧状なら、オーガストにも通用し得るな。 つまり、相手の呼吸器官から、毒を与えるって事だ。 それなら、オーガストがいくら強靭な防御力を有しているといっても関係ない。 表面的な防御力など、所詮は外傷を防ぐに過ぎない。 内面から与えられた攻撃は、流石に通用する筈だ。 これは勝負あったな。 と、俺はまたしても慢心した。 その時。 「フゥーー!!」 オーガストが、勢いよく自らの息を吐き出した。 その息によって、ミリアの吐いた毒は俺達の方へ跳ね返される。 オイオイオイ……。 どんな肺活量してやがるんだ。 っていうか、またしても通用しないのかよ……。 コイツ、強過ぎだろ。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加