駆除

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オーガストの体が地面に迫った刹那。 大きな音と共に、ド派手な水しぶきが舞い上がった。 それにより、衝撃を中心とした水の波紋が周辺に広がっていく。 波紋を足首に受けながら、ミリアは驚きの表情を見せていた。 「な、なにが起きたのだ!?」 まぁ、驚くのも無理はないだろうから、簡単に説明しておいてやるか。 「アレが俺の攻撃だよ 太古の文明が生み出した武器だ」 「なんと……! 私の魔術を以てしても、あれほどの瞬発的で且つ高威力な衝撃波を出すのは難しいぞ」 「だから言っただろう? 任せろとな」 「あぁ、恐れ入った よくやったよ」 「よくやったのはミリアもだよ 誘導がなければ、攻撃を当てる事さえできなかった」 「フフッ なら、リコも褒め称えなければな リコの的確な指示があったおかげで、うまく誘導できたのだから」 まぁ、そうだな。 ミリアに促され、俺はリコも労う。 「リコ よくやった」 「いえいえ! 私は当然の事をしたまでです! それよりマスターは流石ですね! あそこで銃撃を使うのは素晴らしい判断でしたよ! ほら! 対象を見て下さい!」 ん? リコに言われた通り、俺は地面に落下しているオーガストの様子を確認した。 水しぶきは収まり、オーガストを纏っていた手榴弾による黒煙も沈静している。 オーガストの姿ははっきり見る事ができた。 「グルルル……」 地面にうずくまり、立ち上がろうとしない。 いや、立ち上がろうとはしている。 が、何度も体を動かしていても、途端に態勢を崩してしまう。 立ち上がれない状態だ。 まぁ、それが当然だ。 オーガストは高さ5~6mもある場所から、落下した。 しかも、態勢を崩したままの状態で落下した為、着地時に受け身を取れていない。 体の内部を損傷しているのだろう。 骨折や内臓破裂くらいは、している筈だ。 自重によって受けた衝撃に、体毛の防御力など意味を成さない。 落下地点が水面である事を考慮しても、かなり浅い沼だ。 落下した際の衝撃吸収も見込めない。 普通の動物なら、即死してもおかしくないぞ? むしろ、生きている事が不思議だ。 「グルルル……」 汚水にまみれ、地面を這いつくばるオーガスト。 不様だな。 直ぐに楽にしてやろう。
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