駆除

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「なにをしておるオーガスト! さっさと動かぬか!」 ミキはオーガストに命令を下すが。 「グルルル……」 オーガストは相変わらず動けずにいた。 動けない事へのせめてもの抵抗のつもりなのか、オーガストは凄まじい剣幕で吠えていた。 「ヴァン!! ヴァン!!」 おぉ、凄い怖い。 が、所詮は動けない獣だ。 恐れる必要はない。 さて、オーガストの動きを止める事には成功した。 後は、あの体毛による防御力を無力化させるだけだ。 そう思い、俺は次の行動を取る。 「ミリア! 炎だ! 今ならオーガストを焼ける!」 俺は指示を出して、ミリアの方を見た。 すると。 「ぐっ――!」 ミリアは膝から崩れ落ちた。 え!? 驚いた俺はミリアに駆け寄る。 「どうしたんだミリア!?」 「ハァ……ハァ…… どうやら魔力が枯渇してしまった様だ 私としたことが情けない」 なんだと!? 確かに、ミリアの風貌は"魔力解放"を使う前に戻っている。 先程まで操っていた火柱も、いつの間にか消えていた。 おいおい。 最後の最後で勘弁してくれよ。 「そんな…… なんとかならないのか!?」 俺はミリアに懇願する。 「クッ…… 案ずるな……」 膝を地面につけてうずくまるミリアは、その状態のまま片手を持ち上げた。 オーガストに向ける為に持ち上げた片手は、プルプルと震えていた。 「ミ、ミリア……」 「だ、大丈……夫だ これ……しき」 言ってミリアは、手から炎を出した。 が、その炎はマッチ程の火力しかない。 「ぐぬぅ……」 全然大丈夫じゃねぇな。 ミリアが言った事が、虚勢だという事は直ぐに分かった。 かなり無理をさせてしまったか……。 ここは、俺だけでなんとかするしかなさそうだな。 「ミリア 悪かったな」 俺はミリアの肩にポンと軽く手を置いた。 その瞬間。 「グアァ!?」 オーガストがいきなり炎に覆われた。 は?
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