駆除

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なんだと? ミキを殺した時に、俺がその事を後悔する? はぁ!? 「戯れ言も休み休み言えネズミ野郎 命乞いのつもりか?」 俺はミキに、その意図を確認すると。 「汝こそ馬鹿も休み休み言え 余が汝如きに命乞いだと? ほざけよ人間」 相変わらず上から目線で話してくるだけで、会話の要領を得ない。 多分、発言に意味なんてないだろう。 「もういい 最期に言い遺したい事はないか?」 俺は拳銃の引き金に力を込めた。 死を前にしても、ミキは顔色を変える事なく、毅然として言った。 「汝、一切の望みを捨てよ」 …………。 ミキは最期の言葉まで、俺に対する敵意だった。 最期くらいは、恐怖に歪んだ哀れみの表情を拝みたかったが。 そこは王たる威厳が許さなかったか。 最弱の魔物のクセに、なかなかに芯は強い奴だ。 あばよ、"獣の王"。 俺は引き金を引いた。 瞬間。 ミキは頭に風穴を空け、顔面を潰し、水面にうつ伏せ倒れた。 水面に浮かび、それっきり動かない。 血が水面を染めていく。 それだけでもミキの死を判断する事は容易だったが、俺は敢えて確認の手段をとる。 「リコ」 俺はリコに知りたい事を尋ねた。 わざわざ呼んだ理由を言わずとも、リコは俺の知りたがっている事を教えてくれた。 「はいマスター! 目標の沈黙を確認しました! お疲れ様です!」 よし。 リコの確認を経て、俺は拳銃をしまった。 駆除完了だな。
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