相違

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お姉ちゃん達と言うのは、つまりアイツ等の事か。 ノエル、ティナ、ガルム――俺の仲間だ。 俺は、ラクターの問い掛けに答えた。 「いや 今帰ってきたところだからな まだ、会っていない」 「そうだったんですか じゃあ、早く会いに行って下さい! 皆、カズさんの事をすごく心配していたんですよ?」 ほぅ。 「まぁ、そうだろうな」 俺の事を心配するのは当然だ。 せっかく、身を挺して助けてやったんだからな。 アイツ等がよっぽど薄情じゃない限り、俺を心配するのは当たり前だろう。 だが、別に今すぐ会いに行く必要はない。 俺はその旨をラクターに伝えた。 「あぁ、後で会いに行くよ」 「え? 直ぐに行った方が……」 「あぁ だから、お前を家に送って行ったらな もう夜だしな」 俺の心優しい申し出に、ラクターは。 「いえ 僕は大丈夫ですから」 断った。 そんなに、俺をアイツ等と早く会わせたいのか。 ラクターの気持ちは分かったが、俺は夜中に餓鬼を残して去る程薄情じゃない。 「子供が遠慮するな 行く方向は一緒だろ? それに話もしたいしな」 そう。 この売店から、俺の所属パーティ『灰の泥』の拠点と、ノエルの実家は同じ方向にある。 位置的には、ノエルの実家の方が近い。 それに、話したい事があったのは本当だ。 その俺の説明に、ラクターは。 「話したい事? そうですか…… 分かりました!」 少し考えた末、今度は納得してくれた。 よし。 そして、ラクターの買い物が終わり。 「歩きながら話しましょうか」 「おう」 俺達は歩き始めた。
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