相違

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――道中。 ラクターは、俺が居なくなった後のいきさつについて話してくれた。 「いやー それにしても、あの時は驚きました お姉ちゃん達が血相を変えて帰ってきた時は何事かと思いましたよ」 「アイツ等は無事だったのか?」 「はい! 特に怪我とかはしていませんでしたよ」 「それは良かった」 仲間の身を案じる俺。 マジ、良い人過ぎる。 「お姉ちゃん達は直ぐにギルドに行って、カズさんの捜索任務を受注しました でも……」 ん? 「でも?」 「その任務は受理されなかったんです」 ふむ……。 まぁ、大体察しがつくな。 一応聞いてみるか。 「何故だ?」 「複数の魔物に同時に襲われたなんて事例は過去になく、それに対抗できるパーティが居なかったんです」 やはりな。 俺を捜すといっても、それにはある程度の戦力が必要になる。 ノエル達の報告を受けても、おいそれと任務を受理する訳にはいかなかったのだろう。 ラクターは続ける。 「それでもお姉ちゃん達は、自分達だけでカズさんの捜索を強行しようとしたんです」 おぉ、マジか。 なんというか、アイツ等らしいな。 「それで?」 「でもお姉ちゃん達だけじゃあ戦力不足を指摘されて、結局捜索任務は受理されませんでした」 ですよねー。 まぁ、アイツ等が来なかったのは幸いだった。 アイツ等の弱さでは、ミキの眷族には適わないだろうからな。 ギルドの連中は、なかなか冷静な判断ができる様だ。 「賢明だな」 「だから、ギルドのした事はせいぜいウルバキアに、カズさんの捜索任務を伝達魔法で送信するだけでした」 あぁ。 ウルバキアで、堅物の叡人に話し掛けられたのはそういう背景があったのか。 「なるほどな」 「でも……」 ん? また、何かあるのか? 「でも?」 「任務を受理されなかったお姉ちゃん達は、任務の手続きを止め、独断でカズさんの捜索に向かおうとしたんです」 …………。 わお。 独断専行かよ。 そこまでしてくれる気持ちは嬉しいが、無謀が過ぎるぞ。 アイツ等、自分達の力量も把握していない馬鹿なのか? 「それでどうなった?」 「勿論、それも止められましたよ ニルバニアからは、正当な理由がないと出られないので」 「やっぱりか」 「はい ただ以外だったのは……」 「ん?」 「お姉ちゃん達の行動を止めたのは、レイナ様だったんです」
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