相違

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レイナが……? そうか。 アイツ等の行動を抑止してくれたのは、レイナだったか。 ラクターは続ける。 「レイナ様は、お姉ちゃん達に何度も頭を下げて謝ってました "自分の依頼で大変な事になってしまった"って」 「それに対してノエル達は?」 「はい、お姉ちゃん達は…… "レイナ様のせいじゃない 自分達が不甲斐なかったから、カズに任せてしまった だからどうしても助けに行くんだ" って」 「それで結局どうなった?」 「結局、レイナ様はお姉ちゃん達をニルバニアからの外出を禁止したんです 余計な犠牲が増えるから、カズさんの帰りを信じて待つようにって」 ふむふむ レイナ有能だな。 助かったぜ。 感情だけに任せて短絡的な思考で行動してしまいがちなアイツ等を、まさか子供のレイナが止めてくれるとはな。 流石は王女様だ。 俺は納得できたが、ラクターはその事を"以外"だと言っていたな。 何故、そう思ったんだ? 俺はラクターに尋ねてみた。 「別に以外な事じゃあないだろ?」 するとラクターは、分からない、といった表情を浮かべる。 「え? どうしてですか? レイナ様は王女様なんですよ? 王女様というのは国民の思いを、無碍にしない筈だと思ったんですけど……」 あー。 そういう事か。 ラクターは子供だからな。 王女という立場の人に理想を抱いてるみたいだ。 確かに王というのは、国民の思いをある程度は尊重しなければならない。 しかし、本当に国民の事を思うのなら、たとえ反感を買われ様とも、時には非情な決断をする必要もある。 レイナがやった事はまさにそれだ。 だが、ノエル達もそれが分からない程馬鹿ではない筈。 レイナの考えを、きちんと理解しているだろう。 まぁ、子供のラクターには理解されなかったみたいだがな。 俺はレイナの考えを尊重して、ラクターに一応説明した。 「それはなラクター レイナがノエル達を助ける為に、仕方なくやった事だ 要は大人の対応だ お前もいずれ分かる様になるさ」 俺の説明にラクターは。 「うーん……」 納得しきれていなかったみたいだ。 難しかったか? と、思ったが。 ラクターが悩んでいたところはそこではなかったらしい。 「子供の僕には、大人の対応が理解できなかったんですね でも、カズさん……」 「ん?」 「レイナ様も、まだ子供ですよ?」
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