相違

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ん? お、おう……。 そうだったな。 レイナの歳は、中学生くらいだ。 れっきとした子供なんだよな。 レイナと話したのは、ほんの小一時間程だが、その時に感じた事がある。 レイナは妙に大人びていると。 俺に対してタメ語で話してくるし、 話している内容も、凡そ子供らしからぬ難しい事を言っていたし、 そもそも立ち振る舞いというか、雰囲気もなんだか子供らしさがない。 王の風格か? まぁ、マセたガキなんて世に幾らでも居るしな。 レイナが、そういう性格なんだろう。 俺は無理やり自己解決し、その旨をラクターに伝える。 「まぁ、レイナは大人びた子供だったってだけだよ」 「そうですか 確かに、あのレイナ様ですからね 僕なんかよりずっと、深く物事を考えていたんでしょうね」 ラクターも納得したところで、話題はその後の事について変わる。 ラクターは話し始めた。 「実は、僕がカズさんの危篤を知ったのはその後なんです お姉ちゃんは、ニルバニアから出られなくなってから、その愚痴を僕達家族に漏らしていましたからね」 「そうだったのか」 「でも、カズさんがこうして無事に帰って来られたので、お姉ちゃん達に科せられている外出禁止命令は間もなく解除されると思いますよ! そうしたら、また以前の様に4人で任務を行えますよ」 …………。 「あ、あぁ…… そうだな」 「でもあの時のお姉ちゃんは、よっぽど歯痒い思いをしていたんだと思います "抜け道"を聞かれた時は焦りましたけどね」 "抜け道"……? ほぅ……。 やはり、そんなものがあったのか。 俺がラクターに、"話したい事がある"と持ち掛け送迎をしている理由。 それは、門を介せずニルバニアから抜け出す事ができる、この"抜け道"を聞き出す事だった。
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