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歩を進める俺だったが。
待てよ……。
そう思い、歩くのを止めた。
「マスター?
どうされたんですか?」
リコは、俺の行動に疑問を尋ねてきた。
俺はそれに答える。
「アイツ等に会うのは後でいい
それよりも、直ぐに会わなければならない奴がいる」
それはレイナだ。
その意図を理解していたリコは、少し戸惑っていた。
「お気持ちは分かりますがマスター
ノエルさん達を安心させてからでも、いいのでは?」
「いや
時間が惜しい
アイツ等に構っていると、何時レイナに会えるか分からないからな」
「そうですか……
残念ですが、私はマスターに従うまでです」
「あぁ
行くぞレイナのところに」
目的地変更だ。
俺は体の向きをくるっと180°回転させると、レイナの住む城に向かって歩き出した。
城の場所は覚えている。
以前、レイナを送り届けてやったからな。
あの時にレイナは俺に言っていた。
"カズの知りたがっている事が、ダグ・フェルゼンと会う事で分かる"
と。
あの時は、何を言っているのか分からなかったが。
まさか、この世界が元地球だという事を指していたとはな。
流石に驚いた。
問題は、それをレイナが知っていた事だ。
いや、厳密に知っていたのかどうかは良く分からない。
まぁ、いずれにせよレイナに聞くべき事があるのは確かだ。
俺はそれを優先した。
ノエル達との、感動の再会よりもな。
しばらく歩き、景色が一変した。
横を見れば、壁がずっと続いている。
この壁の向こう側に城がある。
門まで後少しだ。
そう思った時。
ん?
壁に背を預け、もたれかかっている1人の人影が見えた。
誰だ?
なんて思いながら、歩を進めその人影に近付く。
すると、人影の容姿が確認できた。
俺はソイツを知っていた。
一体、こんなところで何をしているんだ?
疑問を抱いている時。
ソイツは俺に気付いて、気さくに話し掛けてきた。
「やぁ、カズ
待ってたよ」
レイナだった。
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