相違

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"やぁ"だと? ガキのクセに、なんて口の聞き方だ。 って、そうじゃないだろ俺! なんだ? レイナの奴。 俺を見ても、ラクターみたく驚かないのはどういう事だ? それに、"待ってたよ"だと? その言い方だとまるで、俺がここに来る事を知っていたみたいだ。 やはりレイナは妙だな。 取り敢えず、聞いてみない事には話が見えない。 「お、おう」 「いやー よく無事だったね カズの元気な姿を見れて安心したよ」 言いながら、レイナは俺に近付いてくる。 その様子は、不気味な程に平然とし過ぎている。 違和感半端ねぇぞ。 「おい、ちょっと待て なんだその反応は?」 「え?」 「"え?"じゃねぇよ レイナ、お前には俺がここに来る事を知っていたのか?」 俺の疑問にレイナは。 「あれ? 言ってなかったっけ?」 そう言って、すっとぼけた。 何をだよ。 こちとら何も聞いてねぇぞ。 「なんの事だ?」 俺は首を傾げる。 するとレイナは、とある事実を伝えてくれた。 「私の一族は王族でしょ? だから代々"玉璽"を授かるんだよね」 "玉璽"? そうか。 レイナは王様だったな。 王たる所以を、その身に宿している訳か。 でだ。 「それが、何か関係あるのか?」 「まぁね 私の玉璽は、特別な魔力の"既視"って言うんだけど 簡単に言えば、未来が予知できるんだ」 ほぅ……。 「つまりレイナは、既に俺がここに訪れる未来を視ていたって事か?」 「そういう事!」 なるほどな。 だから、俺の突然の登場にも驚かなかった訳か 合点がいったぜ。 合点はいったが……。 待てよ。 俺の疑問は払拭されたが、それによって疑念が生じた。 それを確かめる為、俺は再確認する。 「おい待て 未来が予知できるって言ったか?」 「うん それが?」 チッ……! そうか。 「だったら、なんで俺達に任務を依頼した? 俺達が魔物共に襲われるのを、知っていたって事だろ?」 未来が予知できるにも関わらず、俺達を危険な目に合わせた。 つまりレイナには、悪気があった事になる。 ふざけやがって! 怒りがこみ上げてきそうになった時。 俺の疑念を聞いたレイナは。 「あー 微妙に勘違いさせちゃったね」 「なんだと?」 「私の"既視"は、不完全なものでね 特定の未来を予知する事はできないの だから、カズが魔物達に襲われた事は全くの予想外だった訳なんだけど…… それでも、私のせいで危険な目にあった事には変わりないよね 本当にごめんなさい」
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