相違

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レイナの謝罪に戸惑う俺。 未来予知が不完全なものだと? それが本当だとすると、確かにレイナを責められないな。 それにラクターの情報からして、レイナはノエル達の強行を抑止してくれたと言っていた。 悪意があれば、そんな行動はとらないだろう。 だが、責任逃れの為の嘘だという点も留意しておきたい。 まぁ、レイナには俺からも謝らなければならない事があったし、それでおあいこにしてやるか。 「そういう事なら仕方ないな」 「え? 許してくれるの?」 「俺は寛容だからな」 「良かったー もっと責められるかと思って、ビクビクしちゃったよ」 「そうは見えなかったけどな 後な 俺にも謝らなきゃならない事がある」 「え? なに?」 俺はレイナに謝罪を述べた。 それは……。 「レイナに借りた伏獣を殺してしまった 済まなかったな」 そう。 俺はレイナのペットを、意図的に殺した。 あの伏獣に構って、ノエル達がさっさと退避しなかったからだといっても。 他人のペットを殺してもいい、正当な理由にはならない。 俺は、レイナからの侮蔑を受けるつもりだった。 しかしレイナは。 「あ、いいのいいの あれはただの家畜だからねー それよりも、ノエルちゃん達を咄嗟に逃がした機転には脱帽だよ」 侮蔑どころか、俺を賞賛した。 「は? 許してくれるのか?」 「私は寛容だからね」 うるせぇよ。 俺の台詞をパクりやがって。 しかし以外だな。 レイナの反応は、ノエル達とは明らかに違っていた。 "家畜"なんて言い方は、俺があの時に表現したまんまだ。 前々から思っていたが、レイナは俺と似ている節が見受けられる。 まぁ、何はともあれ、 レイナの"俺を危険な目に合わせた" と 俺の"レイナのペットを殺した" という お互いのわだかまりは解消された。 さて、本題に入ろうか。
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