相違

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レイナは、少し間を開けて言った。 「それについてはちゃんと教えるよ でも、それは今じゃないの」 なんだと? もったいぶりやがって。 俺をおちょくってんのか。 「なんでだよ」 「これはとっても大事な話なの だから、カズだけの問題じゃないのよ」 ん? 「言ってる意味が分からん」 俺が首を傾げると、レイナは。 「とにかく! 今から、私と一緒に城に来て 会わせたい人達が居るの この話は、その人達にも聞いてもらうから」 そう言って、俺の手を強引に引っ張ると歩き出した。 「お、おい!?」 手を引かれるがまま、俺はレイナに連れて行かれる。 俺の呼び掛けなどまるで無視して、レイナはぐいぐいと城の中に入っていく。 立派な門をくぐると、そこはドーム状のロビーだった。 その高い天井に臆しながら、階段を上り、 横は広く、縦に長い廊下を進んで行く。 その廊下には、豪華な装飾やら高価な置物やらが、そこかしこで確認できた。 一つくらい盗む――じゃなくて拝借してもバレなさそうだ。 って、今はそんな事どうでもいい。 「レイナ! 会わせたい人達って誰だよ?」 「カズにとって大事な人達だよ その人達と一緒じゃなきゃ、この話はできない」 あ? 俺の大事な人達だと? そんな奴ら、今の世界に居たか? っていうか。 「なんで、その大事な人達とやらと一緒じゃなきゃ、その話はできないんだ?」 「その人達には、カズの正体を知る権利があるからよ」 言ってレイナは、一つの扉の前に立ち止まった。 そして、続ける。 「だって、"仲間"でしょ?」 言い終わり、レイナはその扉を開いた。 部屋は割と普通だった。 広くも狭くもない。 部屋の中には、長机があり、それに椅子が用意されている。 が、俺の目線がいったのはそんなところではない。 俺が気になったのは、その椅子に腰を下ろしている、3人だ。 3人は、俺の姿を確認した途端慌ただしく席を立った。 そして、 震える声で言葉を発する奴も居れば、 10m離れていても、聞こえてくるんじゃないかと思える程、大声の奴も居た。 言い方は違えど、ソイツ等の発した言葉は一緒だった。 「カ、カズ……」 「カズ!」 「おう!! カズじゃねぇか!!」 俺の名前を呼んだソイツ等は、レイナの言う通り俺の仲間だった。 「ノエル…… ティナ…… ガルム……」
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