相違

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なんでコイツ等が、レイナの城に? 予期せぬ再会に、戸惑う俺。 なんて声を掛けたらいいんだ? そう思っていた時。 「カズ!!」 それは、いきなりだった。 ノエルが俺に抱き付いた。 って、おいおい! どうしたんだコイツ!? 「ノ、ノエル!?」 「良かった……良かった…… 本当に無事で良かった…… うっ……うっ……」 ノエルは俺に抱き付いたまま、涙を流していた。 …………。 そんなに心配してくれていたのか。 ノエルが泣いているのをさほど気にしていない様子で、ティナとガルムが俺に近付いてくる。 「いやー 流石はカズね あの状況から生還するなんて、凄いじゃない! 褒めてあげるわ!」 ティナは相変わらずだな。 「そりゃどうも」 「ハッ! テメェがあんなところで、くたばる奴じゃないって事は知っていたぜ!! 少し帰りが遅いくらいだ!!」 ガルムも相変わらずだ。 「済まんな」 「ちょっとガルムー カズを助けに行くんだって言って、危うく門番を殴りそうになった人はどこの誰?」 ティナはそう言って、ガルムの発言へ矛盾を指摘していた。 「は? 誰だ? そんな事をした馬鹿は」 「アンタよガルム 自分の行動も忘れちゃうなんて、本当に馬鹿ね」 「そうだったか? それを言うならティナだって、ギルドの上役に金を渡して任務内容を捏造しようとしていなかったか?」 「うっ…… 何故それを……」 「耳と鼻は良い方でな 受付窓口で小声で話していたのを聞いたんだよ 金の匂いもプンプンしていたぜ? 俺にはよく分からなかったが、まぁしようとしていた事は無駄だったみたいだな!」 コイツ等……。 俺の為に、そこまでしてくれていたのか。 この感じ、なんだか懐かしいな。 それはそうと……。 「レイナ これは一体どういう事だ? なんでコイツ等がここに居る?」 俺は、今の状況についてレイナに尋ねた。 「言ったでしょう? 私にはカズが帰ってくる未来が視えていたの だから、カズの仲間である皆を呼んでいたのよ まぁ、積もる話もあるだろうし、しばらくは感動の再会を悦んでみたら?」 なるほど。 そういう事だったのか。 なんというかお節介な奴だ。 だがまぁ、コイツ等とはどのみち会わなければならなかったしな。 会いに行く手間が省けたのは、感謝だな。
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