相違

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つまりレイナの正体は、地球から記憶だけをこの世界に連れてこられ、転生した人間だという事か。 ふむ……。 にわかには信じ難いが……。 むしろ、信じ難い事ばかりだからな。 レイナが妙に大人びている理由。 俺と考え方が似ている理由。 これらを考慮すると、どうやらレイナの言葉は信じるしかなさそうだな。 レイナは続ける。 「私はそれを、"転生者"と呼称しているの」 「じゃあ、俺もその"転生者"なのか?」 「いえ、カズは違うね カズの場合は、そのままの姿でこの世界に連れて来られたんだよね?」 「あぁ」 「そうしたらカズは、"転送者"って事になるね "転生者"とは違うの」 「なるほど それが"連れて来られた形式"の違いか」 「そういう事! 因みに、"転生者"は他にも居るよ」 は? おいおい。 驚愕的な事を、サラッと言うんじゃねぇよ。 こちとら、話についていくので精一杯なんだぞ。 「もう1人の"転生者"だと? ソイツは誰だ?」 「"獣の王"って言ったら分かるよね?」 ――!! 何!? "獣の王"だと? つまりミキか。 ミキが"転生者"!? アイツも、元々は地球の出身だったって事なのか!? なるほど、分からん。 「どういう事だ?」 「言葉通りの意味だよ "獣の王"ことミキ・ラットゥスも、地球からの記憶を宿したままこの世界に産まれたのよ」 うーん? 確かにミキの奴は、太古の記憶を宿していると言っていたな。 だがその記憶は、ネズミのものだぞ? ニルヴァーナが地球から連れて来た奴は、必ずしも人ではないという事か。 っていうかレイナの奴、ミキの事を知っているんだな。 しかし驚いたな。 まさか、地球が故郷の奴が、俺以外にもこんなに居たとはな。 ニルヴァーナの奴……。 わざわざ、地球からこの世界に俺達を連れて来やがって。 一体、何が目的なんだ?
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