相違

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俺の説明に、ノエル達は終始黙って聞いていた。 一見すると、理解を示してくれている風だったが。 その表情は驚きに満ちていた。 しばらくして、話し終わると。 「ハッ! 何を言い出すかと思えば、絵空事もいいところだぜ!」 先ずはガルムが反応を見せた。 様子からして、理解はできなかったみたいだな。 それに続いて、ティナも。 「絵空事といえばその通りね まるで、『翼の神』みたいな話だわ」 そう言って、概ねガルムに同意した。 その反応は、まぁ想定内だ。 しかし、ノエルは。 「いや、ちょっと待って2人共 そもそも『翼の神』を描いたダグさんのコメントでは、"過去に起きた実際の出来事をモチーフにして、作った絵本"だって言っていたわ もし、そのモチーフにした出来事っていうのが、カズの故郷で起きた事だとしたら、話の内容が全て一致する」 そう言って、ティナとガルムを諭した。 ほぅ……。 ノエルの奴、なかなか鋭いな。 「ノエルの言う通りだよ それについては、ダグ博士に確認済みだからな 『翼の神』の内容を知った時は、俺も驚いたぞ」 俺のその発言を聞くと。 「えぇ!? ダグさんに会ったの!?」 ノエルが話に食いついてきた。 流石、ファンだけあるな。 「あぁ 俺がこの世界の事を知れたのも、ダグ博士のお陰だ そうだ! ラクターに土産を渡しておいたから、後で見てみるといい」 「え? う、うん……」 その、土産というのはダグ博士のサインの事だ。 ノエルの喜ぶ顔が目に浮かぶ。 おっと、話が脱線したな。 要するにだ。 「さて、これが俺の正体だ 信じてくれたか?」 俺がまとめると。 「ハッ! 誰が信じないなんて言ったよ? 俺は難しい事はよく分からねぇが、カズがそうだって言うんならそうなんだろ」 あれ? ガルム奴、信じてくれているのか? 「まぁ、そうね この私の至高なる頭脳を以てしても、正直理解し難い話だったけれど…… 今まで、カズの起こしてきた数々の不自然な成果を鑑みて、むしろそういう事の方が納得できるわね」 あれれ? どうやらティナも、信じてくれているみたいだ。 じゃあ、ノエルは……。 言わずもがなだな。 ノエルは、俺の話についての見解を示した。 「まぁ、そういう事だから 私達は、その話を信じるわ カズが、そしてレイナ様が、 太古の人間だって事をね」
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