相違

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"試されている"……だと? それも"人間の本質"を? 何言ってんだコイツ。 意味が分からないぞ。 「どういう意味だ?」 俺が詳細を尋ねると、レイナは説明を始めてくれた。 説明の一環なのか、レイナは俺にとある質問を投げかけた。 「じゃあ、カズに聞くんだけどさ "人間らしさ" それは、どういったものだと思う?」 「は?」 「いいから答えて」 「それは…… 優しさとか、気遣いとか、そんな類の慈愛に満ちた行動を、人間味があると表現するが…… そんな感じの事か?」 「そうね それは一般的な"人間らしさ" でも、"本当の意味での人間らしさ"ってなんだと思う?」 は? やべぇ……。 哲学が始まった。 「えーと……」 質問の意味が分からず、言葉を詰まらせている時。 レイナは、答えを言った。 「本当の意味での人間らしさっていうのはね、この世のなによりも、酷くおぞましいものなの 例えるなら…… そうね "闇"と表現した方が適切かも」 …………。 "闇"ねぇ。 それって、俺に宿ってる魔力なんですが……。 まぁ、そんな事は今言うべきではなさそうだ。 なんか悪者みたいじゃん。 それはさておき。 つまり、"人間らしさ"っていうのは、"闇"と同義だと言う訳か。 なんか似た様な事を、ミリアも言っていたな。 でだ。 「それが、ニルヴァーナに人間の本質を試されている、っていう事とどう繋がるんだ?」 「カズは、ニルヴァーナに転送させられる瞬間に、何か言われなかったの?」 「は?」 うーん……。 あの時の事はよく覚えていないんだが。 言われてみれば、ニルヴァーナの奴、何か色々と喋っていたな。 なんだっけ? 思い出せ俺! 今、それが大事な事かも知れないんだ! 必死に過去を振り返っている時。 ふと、俺の脳裏にあの日の出来事がよぎった。 "――ならば、それを確かめて来るが良い 汝という人間が本当に世界にとって"何もしない無害な存在"であるのかをな――" この言葉! 間違いない、ニルヴァーナが俺に言っていた事だ。 俺が思い出したかの様な表情を浮かべると、それを見て察したレイナが核心の答えを言った。 「そういう事よ 私達は、太古の人間として、"本当の意味での人間らしさ"を持っているの それが、この世界にとって有害か無害か それを、ニルヴァーナによって試されているのよ」
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