相違

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"見解の相違"か……。 俺とレイナは、どことなく似ている感じがしていたのだが。 それはあくまで、地球に居た人間同士だからこその思想が似ていただけか。 個人的な、根本の考え方には差異があった様だ。 とんだ勘違いだったみたいだな。 まぁ、意見の対立など珍しくもない。 レイナは続けた。 「それでもね カズが何をどう捉えようと、地球滅亡の事実は変わらないよ」 「何が言いたい?」 「だから、私の考え方は間違っていないと思うの 実際に今のこの世界は、皆が平和に暮らしている これで理解してくれた? ニルヴァーナの行いは正しいと思うよね?」 はぁ……。 レイナの奴。 何を言い出すのかと思って、尋ねてみたが、とんだ狂信者だぜ。 俺がそんな無茶苦茶な理論を、受け入れる筈がねぇだろ。 世間がいくら地球滅亡を肯定しようと、俺はニルヴァーナを絶対に許さない。 レイナがわざわざ、城に招いてまで伝えたかった事って、その下らん布教活動の為か? っていうか。 「レイナの言い分は分かった だが、そもそもなんで今になって話したんだ? 俺に会った最初の時に、全てを教えてくれれば良かっただろ」 その俺の疑問にレイナは。 「口頭で説明したところで、カズにはこの世界が元地球だと信じられたの?」 うっ……。 痛いところをつくな。 確かに、そんな驚愕的な事を突然告白されても、到底信じられなかったかもな。 「それは……」 言葉を詰まらす俺に、レイナは疑問の答えを言った。 「だから、先ずはダグ・フェルゼンに会わせる事で、その証拠を突き付けた その後で、私から詳しい説明をした方が良いと思ってね でも、魔物に襲われた事は想定外だった あの未来さえ視えていれば、あなた達に任務を任せたりしなかったのに…… 本当にごめんなさい」 「皆無事だったんだ それはもういい」 「ありがとう で、私が皆を集めてこの話をしたのは、説明とは別に、一つの目的があったからなの」 ん? 「目的?」 「私は、カズに考え方を改めて欲しかった」
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