相違

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は? レイナの奴、何を言っているんだ? その聞き方だと、まるで地球を見せてくれるみたいに捉えられないか? だが、地球を見せるなんて事は不可能だ。 だって、地球は既に滅亡している。 強いて言えば、このファンタジーな世界に変わってしまったのが、今の地球の姿だ。 俺とレイナが居た頃の地球は、もうどこにも存在はしていない。 これは断言できる。 にも関わらず、どうもレイナは、地球をコイツ等に見せる気でいるみたいだ。 だとしたら、その手段は? 一体どうやって、地球を見せる気でいるんだ? 俺は、そんな疑問を纏めて尋ねた。 「レイナ 何を言っている?」 俺の疑問に、レイナは。 「コレを見て」 そう言って、取り出した物を机の上に置いた。 それは紙だった。 何枚もある。 ハガキ程度の大きさをしている紙。 その紙の正体について、俺は尋ねた。 「コレは?」 「コレは"写紙"よ "意思疎通魔法"『念写』 によって、とある風景を撮したものなの」 "写紙"? "念写"? ふむ……。 要は、カメラで撮影した写真って事だな。 コレが、地球を見せる手段なのか? どれどれ……。 俺は、その写紙を一枚だけ掴み取って見てみた。 ――――!! そして、しばらく言葉を詰まらせた。 「え? なになに? どんな写紙なの?」 俺の反応を見て、ノエル達も机の上に散りばめられた写紙を見ていた。 そして、各々感想を述べる。 「なんだこりゃあ? 馬鹿にでけぇ岩だな」 とガルムが言い。 「岩にしては、幾何学的な造形をしているわね それに、無数に空いた穴にも規則性が見られるわ 自然にできたものとは思えないけれど……」 と、ティナは写し出されたものの特徴を捉えて、疑問を露わにする。 「待ってよ じゃあコレが、人工物だとでも言うの? それこそ、考えられないわ 人に、こんな巨大な物体を作れる筈がないからね」 ノエルは、ティナの意見を現実味がないとして否定した。 コイツ等の中に、正解者が一人居るな。 それはティナだ。 写紙に写し出されていたもの。 それは、かつての人が造り上げた建造物。 科学文明の発展を体現したような風景。 幾棟も建ち並ぶ、"ビル"だった。
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