相違

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その写紙に写し出されていたビル群。 ビルの状態は、極めて損壊が激しかった。 そのほとんどは傾き、壁面のコンクリートは剥がれ落ち、鉄筋が剥き出しになっている。 ティナが言っていた規則的に空けられた穴というのは、窓の事だ。 勿論、その窓にガラスはもう無い。 ビルそのものも、半ば砂と化している。 この損壊がニルヴァーナによってもたらされた事は言うまでもないな。 それに加えて、1000年という経年も考慮すると……。 この損壊具合はまぁ、当然か。 そんな著しい状態でも、ビルだと認識できたのは、ビルの特徴が残されていたからだ。 ビルという建造物を日常的に見ていた俺からしたら、直ぐに分かる。 まぁ、コイツ等にとってはこれが建造物だとは思っていないみたいだがな。 俺はノエル達に説明する。 のは後回しにして、先ずはレイナに情報を求めた。 「レイナ これをどこで?」 「"禁足地"よ "第0179東部地方調査"に派遣された調査隊が念写してきたものなの」 "第0179東部地方調査"? なんか、聞いた事があるな。 えっと……。 そうだ! ノエルの実家で読んだ本に、そんな記述があった気がする。 確か、ウォーレンが派遣された禁足地の調査名称だったよな。 ウォーレン曰わく、なんでも"竜人"を目撃したとか。 その本に記述されていた説明によれば、"竜人"はニルヴァーナの化身とか言われていたな。 ふむ……。 後でウォーレンに詳しく聞いてみるか。 レイナは続けた。 「"禁足地"には、こんな地球の面影が数多く残っているの」 なんだと? なんか、その発言おかしくないか? 「おい、"禁足地"っていうのは"未開の地"なんだろ? なんでレイナがそんな事を知っている?」 俺の疑問にレイナは、ぶっちゃけた。 「禁足地を未開の地として設定したのは、ギルドの上層部よ お偉方には、既に分かっているのよ この世界に、異なる文明が存在していた事をね でも、混乱を防ぐ為、そしてなによりニルヴァーナの信仰を守る為に、その事実を隠しているの」
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