相違

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ノエルの奴、何をとんちんかんな事を言ってやがる。 リコの感情だと? 理解しているかと思えば。 やはり、何も分かってないな。 俺はノエルに説明する。 いい加減、うんざりするぜ。 「ハァ…… 分かってねぇな リコに感情はない」 「そんな筈はないわ! リコちゃんだってカズに誉められれば喜んでるし、ケガを負ったら悲しんだりしているじゃない!」 「あのな…… それは、情報のやりとりを円滑に進める為に組まれたプログラムの一種だ リコに喜怒哀楽なんてものは存在しないんだよ」 「そ、そんな…… でも! リコちゃんの明るい性格には、カズも救われた筈よ?」 「だ、か、ら リコの献身的な性格もプログラムの一部だ 強いていうなら、そうだな…… 感情すらも作り物って事だ」 「な、なんて事を言うの……!? リコちゃんがかわいそうとは思わないの?」 「所詮は機械だ リコに自我はない」 「そんな事、リコちゃんに聞いてみないと分からないでしょう!? リコちゃん! あなたはどう思っているの?」 ノエルはリコに問い掛けた。 無駄な事を。 リコはノエルの問い掛けに、困惑していた。 "困惑"していた理由は、言うまでもない。 リコにとって、その問い掛けに対する答えは決まりきっているからだ。 リコはそれを言った。 「うーん…… 私は、マスターの役に立てるだけで幸せなので! それが私の存在意義です! マスター無くして、私は生きていけません!」 だから、テメェは生きてないだろ。 まぁ、ともあれ。 「だとさ リコは、そういうプログラムなんだよ もういいだろ?」 「そんな…… これが"機械"なの? なんだか、悲しすぎるわ」 ノエルは決して納得はしていなかった。 こうなると、もはや納得する事はできないだろうな。 まぁ、納得できなければそれでいい。 それがノエルと俺の見解の相違だ。 さて……。 そろそろ、マジで本題に入るか。
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