相違

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俺はレイナに応える。 「そうだ ラロの民が使ったと言われる、無機物にのみ作用する回復魔法、"修復"だ」 すると。 「ラロの民だぁ? おいおいカズ テメェ、よっぽど不思議を言ってるぜ?」 ガルムが突っかかってきた。 「なに?」 「だって、そうだろう? ラロの民は、とっくに滅んでいるんだぜ? その魔術だって、既に失われている筈だ」 なるほど。 まぁそれが、世間一般の考えだろうな。 「あぁ、事実上ではな だが、真実は別にある」 「何?」 「ラロの民は確かに滅亡した だがな、その能力を引き継いだ末裔がまだ現世に居るんだ」 「はぁ? そんな話、聞いた事ねぇぞ?」 ガルムが疑問符を浮かべ、凡そティナとノエルも困惑していた。 その時。 「カズ…… その事をなんで知っているの?」 レイナが、神妙な様子で聞いてきた。 その聞き方……。 やはり、何かを知っているな。 俺はレイナの問い掛けに答える。 「ダグ博士から聞いたんだ もっとも、ダグ博士はただの可能性として言っていただけだがな」 「そう…… ダグ・フェルゼンが 道理で 因みになんて?」 「あぁ、なんでも ラロの民には、とある外見的特徴があったらしい それが、末裔にも表れているってさ」 「外見的特徴?」 ノエルが聞き返し、俺はその答えを言った。 「ラロの民は、皆一様に "瞳の色が緑色"だったらしいぞ」 すると。 「はぁ!?」 「え!? それって……」 ガルムとノエルは、驚いた様子でティナを見た。 だいたい、俺の言いたい事は分かったみたいだな。 当のティナは、戸惑っていた。 俺の発言に該当する人物が、自分だと気付いたみたいだな。 俺はそんなティナに、確認をする。 「ティナ お前のその瞳の色…… それは生まれつきか?」
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