相違

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俺の確認にティナは、戸惑いながらでも応えた。 「そ、そうよ 私のこの瞳の色は、両親からの遺伝なの でも、なんでそれがラロの民と関係あるのかしら?」 ん? ティナのこの反応……。 演技とは思えない。 まさか、自分がそのラロの民の末裔だと気付いていないのか? 「ティナ 両親から、その瞳の色について何か聞いてないのか?」 「え? うーん…… 一度気になって、聞いてみた事があるんだけど…… 私の一族にのみ表れる先天性の色素変異としか、聞いてないわ」 ふむ……。 ラロの民がらみの説明は、受けていないのか。 やはり、ティナは知らなかったみたいだな。 だが、ティナにそんな説明をした両親も、ひょっとしたら知らない可能性がある。 俺が代わりに事実を教えてやろう。 「いいかティナ その瞳の色は、ラロの民の外見的特徴だ つまり、お前はラロの民の末裔なんだよ」 「え!? で、でも…… そんな事、今まで一度も聞いた事ないんだけど」 すると。 「仕方ないなぁ その説明は私からするよ」 レイナが介入してきた。 やはり、何か知っていたか。 「どういう事だ?」 俺が尋ねると、レイナは説明を始めた。 「確かにカズの言う通り ティナちゃん――つまりヴェール家の一族は、ラロの民の末裔だよ」 レイナの説明には、やけに説得力があった。 その理由は、レイナが確固たる事情を知っている故だからだろう。 「やはりか 詳しく頼む」 「うん 昔々、ラロの集落がニルヴァーナに急襲されたのは、皆知っているよね?」 「あぁ」 「その時に、辛うじて急襲を免れたラロの民が居たらしいの」 「ふむふむ」 「そのラロの民は、逃げ続ける内に、このニルバニアにたどり着いたんだって そんなラロの民を哀れんで、その時のニルバニアの王様――つまり私の曾曾?おじいちゃんは、そのラロの民を自国で匿ったのよ その時匿われたラロの民が、ティナちゃんのご先祖様って訳」
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