相違

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ティナは、机の上に置かれているタモサンに杖の先を向けた。 「えーと…… 回復魔法の要領で詠唱すればできるかしら?」 なんて自問自答しながら、試行錯誤を繰り返している。 おいおい。 そんな調子で、本当に"修復"ができるのか? 頼んどいてあれだが、成功が疑わしいぞ。 俺が不安を募らせている時。 「うーん 回復魔法のコツは、回復後の治療状態をイメージする事だから…… タモサンの修復後の姿をイメージすれば、成功するかもよ?」 ティナの試行錯誤を見ていたレイナが、助言をした。 レイナの助言を受けたティナは。 「なるほど! 流石、レイナ様! でも、コレの修復後のイメージが湧かないのよねぇ」 些細な問題を指摘してきた。 タモサンの修復後がイメージできない? 何を言ってんだ。 そんな事、簡単じゃねぇか。 「なら、リコを参考にしろよ タモサンはリコと同型の機械だ」 俺の的確且つ素晴らしい助言を受けたティナは、何かを感じたみたいだった。 「へぇ カズにしては、まともな意見じゃないの 参考にしてあげるわ」 「そりゃあ、どうも」 そして、ティナはリコをジッと見た後。 「ある程度、イメージは固まったわ それじゃあ行くわよ "奇術"『修復』!!」 そう言って、杖をタモサンに向かって振るった。 おい、確実性がないのに、自信満々で技名を叫んじゃって大丈夫なのか? 失敗したら、かなり恥ずかしいと思うんだが……。 と、俺は別な心配をしていた。 その時。 ティナの構える杖。 その先端部に取り付けられている"魔晶石"が、眩い光を放ちだした。 うお! マジか!
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