相違

50/105
前へ
/805ページ
次へ
聞き慣れないその言葉に反応する俺。 「"隔世遺伝"? なんだそれ?」 尋ねると、レイナは説明してくれた。 「そうねー "先祖返り"って、聞いた事ない?」 "先祖返り"? あー。 そう言われると、なんか聞いた事あるかも。 あれだろ? 自然界でも極稀に、 "足の生えた蛇"や "指の生えたイルカ" なんかが、突然変異で誕生するやつだ。 なんでも、個体の持つ遺伝形質が、その親の世代では発現せず、その先祖から受け継がれる現象だとか。 そうか。 それが、"先祖返り"――つまり"隔世遺伝"って事か。 ん? じゃあ、ティナがその"隔世遺伝"を受け継いだ器だって事は……。 「つまり、ティナはラロの民の遺伝子を受け継いでいるって事なのか?」 俺の確認に、レイナは。 「うん 間違いないと思うよ そうだとしたら、ティナちゃんに"修復"が使えた理由にも、納得できるでしょう?」 概ね、肯定した。 「ふむ なるほどな」 俺もレイナ同様に、納得していた。 レイナは続ける。 「ティナちゃんの魔力量が少なかったのは、そういう事だったのね」 その発言に、ティナが反応する。 まぁ、数少ないティナの短所だからな。 気になる気持ちは分かる。 「ど、どういう事ですか?」 「厳密には、ティナちゃんの魔力量は少なかった訳じゃないの ただ単に、光の魔術を使いこなせていなかっただけよ」 「え?」 「ティナちゃんに向いているのは"奇術"なのよ でも"奇術"の存在を知らなかったし、魔術の適性が一番近いのが光の魔術だったから、仕方なく光の魔術を使っていただけだと思うの」 「それじゃあ……」 「うん ティナちゃんはこれから"奇術"を練習してみるといいよ! 勿論、光の魔術も使い易い魔術だから、それも諦めずにね」
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加