相違

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レイナの発言に勇気付けられたのか、ティナの表情は嬉しそうだった。 ティナは、ポジティブな性格をしている。 それも、無駄にポジティブ過ぎるくらい。 だからだろうか。 ティナは悩みを抱える事がない。 しかし、人というのはすべからく悩みを抱えるものだ。 ティナも、心の奥底では自らの魔力量が少ない事に対して、コンプレックスを感じていたのだろう。 今、それがレイナの発言により払拭されたみたいだ。 ティナは俺達に向かって、高飛車な態度をとる。 「フフフ…… ねぇ、今のレイナ様の話聞いた? やっぱり私って、特別な存在だったのよ! 恐らく、"奇術"を扱える唯一無二の存在よ! どう? 崇め奉ってもいいのよ?」 そう言って、長い銀髪を手でなびかせた。 …………。 うぜぇ……。 あまり、調子に乗らせたくはないが。 ティナのお陰で、タモサンを修復できたのも事実。 あまり、強くは言えないな。 なんて、思っている時。 「はいはい それで? その修復されたタモサンとやらには、何が記録してあるの?」 ノエルが慣れた様子であしらい、本題に入った。 無慈悲にティナの優越感をへし折るノエルさん、マジパネェ。 まぁ、俺もそろそろ本題に入りたいと思っていたところだ。 ティナには悪いが、ノエルには感謝だな。 さて、そうと決まればやる事は一つ。 「今、調べてみるよ」 俺はノエルに返答した後、タモサンを拾い上げた。 そして、操作を試みる。
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