相違

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取り敢えず手動で、タモサンを操作してみた。 タッチパネルに触れる俺。 しかし。 『――――』 タモサンは反応しなかった。 なんでだ? 電池切れか? まぁ、1000年が経過しているからな。 修復されていたとしても、内部電力が枯渇しているんじゃあ、起動はしないか。 それなら、方法がある。 俺はその方法を行った。 「リコ 頼む」 多目的汎用多才携帯端末機は、太陽光発電機構を搭載しているが、深夜での電池切れも想定して、同型から電力を供給できる仕組みが施されている。 つまり、タモサンと同型のリコなら、内部電力を供給してやれるって訳だ。 まぁ、タモサンが起動しない原因が電力とは限らないしな。 それも含めて、リコに確認してもらおう。 俺の頼みにリコは。 「了解ですマスター! では、調べてみますね!」 俺の意図を察して、タモサンの分析を始めた。 そして、しばらくして。 「ふむふむ 内部電力に問題はないようですね」 分析結果を報告してきた。 っていうか……。 「なに? じゃあ、なんで起動しないんだよ?」 「それですが…… 外見的には問題なさそうなのですが 内部の損傷は甚大で、修復は完全ではないといえます」 「はぁ!?」 おいおい、修復されてねぇじゃねぇか。 ティナの奴、使えねぇな。 と、責めたいところだが。 初めて使った"修復"だからな。 完璧とはいかなかったか。 仕方ない。 できるだけリコに分析をしてもらって、修復されている箇所を探すしかなさそうだ。 こうなったら、どんな些細な情報でも聞き出してやる。 「リコ 詳しく調べてみろ」 「はい!」 先ず、自律思考モードは失われている様です 会話による情報聴取は難しいですね」 「そうか」 「ただ、辛うじて修復されている機能を見付ける事ができました!」 「なに!? どんな機能だ!?」 「録音機能です」
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