相違

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"録音機能"だと? それはまた、簡易的な機能だな。 まぁ、複雑な仕組みをしていない機能だからこそ、修復されていたのかもな。 問題なのは……。 「リコ それには、何か録音されてあるのか?」 そう。 その録音機能に、"あの日"の情報が含まれているかどうかだ。 "あの日"というのは、ニルヴァーナが地球の滅亡を始めた日付だ。 タモサンの持ち主が、"あの日"の出来事を何か記録していればいいのだが……。 俺はそんな期待を込めて、リコに確認をさせた。 するとリコは応えた。 「ちょっとお待ち下さい 今、データの復元を…… よし! 復元完了しました! 記録メディアには、幾つかのメッセージが録音してありますね」 おぉ! 「でかしたぞリコ そのメッセージが録音された日付は分かるか?」 「日付……ですか?」 「あぁ」 もし、録音された日付が"あの日"ならば、俺の求める情報が記録してあるのは確定的だからな。 そんな俺の考えを汲んでか、リコは簡潔に説明してくれた。 「日付は…… ――!! "あの日"のものが数件確認できました! マスター、これは……」 やはりか。 「あぁ 間違いない そのタモサンの持ち主は、"あの日"の出来事を記録してあったんだ」 まぁ、それが 家族に宛てたメッセージなのか 仲間の為に残した情報なのか 死を悟った際の遺言なのか は、分からないがな。 そこは、録音内容を聞いてみれば分かる事だ。 俺は早速、リコに頼んだ。 「リコ 再生できるか?」 「はい! スピーカーも修復されているみたいなので、このまま再生できますよ!」 「そうか なら、頼む」 「了解しました!」 俺の要望で、リコはタモサンに記録してある録音を再生させた。 すると。 ―――――――――――― ――――ピー……ザザ ザザ……ザ…… こ、こちら 日本国陸ぐん第1機甲師団 第7戦しゃ、大隊 A中たい……所、属 キムラ 少佐 認識ばん号1072291 20時45分(ニーマルヨンゴー)録音を開始する ―――――――――――― ノイズが酷いな。 聞き取りにくいぜ。 まぁ、言っている事が分かるだけマシか。 何せ、ノエル、ティナ、ガルムには、言葉すら分かっていないみたいだからな。 それもその筈。 だって、そのタモサンから聞こえてきたのは、"日本語"だったからだ。 当然だよな。
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