相違

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―――――――――――― JAN.1 事件が発生した コバヤシがタチバナを襲っていたのだ コバヤシは正気を失っており、その装いは半ば狂人と化していた やむなくコバヤシを射殺 コバヤシがタチバナを襲った原因は不明だが、凡そ劣情を催したと考えるのが妥当であろうか 或いは…… しかし、あの生真面目だったコバヤシが何故? 人間とは、極限状態に陥ると、あそこまで変貌できるものなのか…… この事態に、我々は悔やんでも悔やみきれない ―――――――――――― ―――――――――――― JAN.2 コバヤシの死体を処理する 幸い……と言っていいのかどうか複雑だが 季節は冬 死体の腐乱する進行は遅かった コバヤシの死体処理には、サイトウが名乗りを上げた 体力が残っている内に、遠くへ埋めてくるのだという 私も同行を申し出たが、断られた なんでも、タチバナとササキを守る様にとの事らしい 仕方なく、コバヤシの死体処理はサイトウに一任する事にした ―――――――――――― ―――――――――――― JAN.3 非常食が底を尽き、体力の限界が近い そんな時、コバヤシの埋葬を済ませたサイトウが帰ってきた サイトウは朗報を持ってきた コバヤシを埋葬後、食糧を見つけてきたのだという 新鮮な生肉だった 我々は、半ば獣の様にその肉を食らい尽くした 歯応えと味に違和感を感じ、食後、サイトウに何の肉なのか尋ねてみた なんでも、地下鉄に迷い込んだ"猪"だという 言われてみれば"猪"の肉は食った事がない 何はともあれ、これで飢えが凌げそうだ ――――――――――――
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