相違

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―――――――――――― JAN.4 再び事件が起きた 深夜の事だ タチバナが、私の銃を用いて自殺を図った タチバナは遺書も遺している なんでも "精神的ショックを受けた 生きていく気力がなくなった" との事らしい なんてこった! コバヤシの行動が、タチバナを自殺に及ばした動機になったのだとしたら、我々への責任も重大だ 民間人を守れずして、何が軍人だ 私は軍人失格だ そして、心の奥底で食糧への分け前が1人分減った事を喜んでいる自分がいる 私は軍人以前に、人間としても失格だ ―――――――――――― ―――――――――――― JAN.4 タチバナの死体を処理する 死体処理には、またしてもサイトウが名乗りをあげた 皆の体力が衰えている中、肉体労働を進んで行うそのサイトウの気概に感銘を受ける しかし、サイトウの様子はどこか嬉々としていた 不思議に思い、タチバナの埋葬に向かったサイトウの後を付ける そこで私は、世にもおぞましい光景に直面した サイトウは――ザザ…… タ、チバナの死体――ザザ……を……ザザ ナイフで……ザザ――して……ザザ……ザ――していた さながらその時のサイトウには、凡そ人間性というものがまるまる欠落している風に思えた いや…… 或いはそれが本当の人間の姿であろうか…… 私は、先日食した"猪肉"の正体を察した なんて事だ…… 非常に残念でならなかったが、やむなく、サイトウを射殺する ――――――――――――
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