相違

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―――――――――――― JAN.7 サイトウを射殺し、3日が過ぎた 食糧は底を尽き、私とササキの限界は近かった そんな状態でも私達は、"猪肉"を食う事はしなかった 背に腹は代えられないとはいえ、限度はある それをしてしまうと、今度こそ私は人間ではなくなってしまう それはもはや、人間の形を成した何かだ ―――――――――――― ―――――――――――― JAN.8 限界だ 気がおかしくなりそうだ 時折、幻聴が聞こえた 私の中で、悪魔的な囁きが聞こえてくる 生きる為ならば、手段を選ぶなと 外道と成り果てても、生き延びろと 何かが、私を闇へと誘っている しかし、私は屈しない せめて…… せめて…… 私は"人間"として、生涯を終わらせたい ―――――――――――― ―――――――――――― JAN.8 死ぬ覚悟はできた ただ…… 自決を試みようとしたところ、ササキが阻止をする なんでも 自分を1人残して逝くのは無責任だと いっそのこと、自分も楽に死ぬ道を選ぶ のだという ササキも私同様に、何かと葛藤していた様だ そうか…… ならば、最後に私がやるべき事は、この残された一発の弾丸を私か、それともササキに使ってやるか その選択の決断 それだけだ ――――パンッ!! ………… ―――――――――――― 録音されていた音声は、それで終わりだった。
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