相違

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「…………」 えーと……。 なにこれ。 下手くそなホラーかよ。 と、音声だけを聞いた感想はそうだが。 これって、俺の身近で起きた実際の出来事……なんだよな? そう捉えると……。 なんとも言えないな。 まぁ、幾つか判明した事はある。 あの10式戦車(ヒトマル)が地下鉄に放置していた理由。 地下鉄が放射能に汚染されていた理由。 いずれにせよ、ニルヴァーナの急襲になんとか抵抗しようとした、人間の反撃の痕跡だと。 さぞかし無念だったろうな。 内容が内容だけに、俺は少し黙り込んでしまっていた。 リコとレイナも、俺同様に静まり返っている。 静まり返っているメンバーは、一様に日本語が分かっている面子だな。 そんな時。 「あのー…… ねぇ、カズ? もう、何も聞こえてないけど…… 3人ともどうしちゃったの?」 ノエルが尋ねてきた。 どこか暗い雰囲気を察したのか、ノエルの聞き方はオドオドしていた。 「いや、別に……」 俺がそう応えると。 「それじゃあ分からないわよ ちゃんと説明してよ カズ達は一体何を聞いたの?」 うーん……。 話して大丈夫なのか? いや、大丈夫じゃないな。 聖人じみた考えをしているコイツ等に、今の話は刺激が強すぎる。 「お前らには知る必要がない事だ 気にするな」 「そんな説明で納得すると思っているの?」 やっぱり、引き下がらないか。 だが。 俺も引き下がる訳にはいかないぞ。 「ノエル 世の中にはな、知らない方が幸せな事ってのがあるんだよ」
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