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俺のその説明にノエルは。
「え?
なによそれ
理由になってないわよ」
まだ、引き下がらなかった。
まぁ、ノエルの性格上、教えるまでしつこく聞いてきそうだな。
困ったな。
教えてやってもいいが、絶対に後悔するぞコイツ等。
俺が頭を悩ましている時。
「あー、ノエルちゃんと皆
この件に限っては、カズの言う通りだよ
私も、アナタ達にはこの話を教えるべきではないと思っているの」
レイナが俺の思いを汲んでくれた。
意外だな。
俺とレイナは考え方が逆だったから、そのレイナの発言には少々驚いた。
「どういうつもりだ?」
俺はレイナに小さな声量で耳打ちをして、尋ねた。
するとレイナも、周りに聞こえない様な声量で答えた。
「当然でしょう?
あんな話を聞かせて、この子達の心が穢れちゃったらどうするの?」
「さいですか」
どうやらレイナは、コイツ等の純粋さを守りたかったらしい。
アレだ。
よくあるシチュエーションで、変人の奇行に対する幼子の純真無垢な質問に、母親が"見ちゃいけません"って言う感覚だ。
まぁ、大凡俺の思いと合っていたな。
レイナに言われノエルは。
「そうですか……
レイナ様が言うなら……」
しぶしぶ納得していた。
って、このアマ。
なんでレイナの言う事は、素直に聞くんだよ。
レイナが王様だからか?
釈然としねぇな。
と、俺が思っていた時。
レイナは、そんな残念がるノエルを宥める様に言った。
「分かってくれてありがとうノエルちゃん、そして皆
でもね
どうしても、この話の内容が知りたいって言うんだったら、"意思疎通魔法"『会話』を使うといいよ
それで日本語は翻訳できるからね
でも、その時は自己責任でお願いね」
レイナはそう言って、ノエル達の気持ちも尊重していた。
ふむ。
頭ごなしに否定するだけじゃないのか。
きっとこの辺が、レイナが慕われている理由の一つなんだろうな。
ノエル達は、レイナがただ単に王様だからという理由で、言いなりになった訳でもなさそうだ。
「――!
はい!」
ノエルもレイナの提案を受け入れ、納得した表情を浮かべている。
よし。
じゃあ……。
用事は済んだし、帰るか。
でだ。
俺の中では、この話を聞いた事によりある変化が生じていた。
それは、以前より抱いていた、とある"目的"が確固としていた事だった。
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