相違

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「帰るぞお前等 コレはティナに預けておく」 俺はそう言って席を立つと、タモサンをティナに渡した。 ティナが修復を使いこなせる様になれば、まだまだタモサンから得られる情報があるかも知れないからな。 「え、えぇ」 ティナはタモサンを受け取り席を立つと、それに連れてノエルとガルムも席を立った。 さて。 「世話になったなレイナ 色々聞けて良かったよ じゃあな」 俺は挨拶を終え、去ろうとした。 その時。 「ちょっと待って」 レイナは俺を呼び止めた。 ん? 「なんだ?」 「カズはこれからどうするつもりなの?」 …………。 どうするつもり……か。 それな。 まぁ、やる事は決まっている。 それは、俺の新たな目的の事だ。 だが、それを教える気はない。 レイナにも。 そして、コイツ等にも。 だから、俺は嘘をついた。 俺のお得意の演技力でな。 「あー そ、そうだな ま、まぁ……アレだ 今まで通り、コイツ等とギルドの仕事でもして過ごすよ」 完璧。 さぁ、どうだ? 俺の返答に、レイナは。 「…………。 そう…… まぁ、くれぐれも気を付けてね」 よし! うまく、誤魔化せたな。 なんか、怪しんでいた風に見えたが……。 まぁ、気のせいだろう。 「じゃあなレイナ」 「うん じゃあね」 挨拶を済まし、俺達は城を後にした。 しばらく歩く。 俺は今後の事を考えていた。 俺の成すべき"目的"についてだ。 あのタモサンに録音されていた音声。 知らない奴だとしても、俺の同胞には違いない。 ソイツ等は、ニルヴァーナの仕業で人間として最悪な最期を迎えている。 そんなニルヴァーナの造り上げた世界で、のうのうと生きていく気は俺にはない。 だからといって、死ぬ気はさらさらない。 だったら……。 俺の目的は一つだ。 ニルヴァーナをぶっ殺す。
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