相違

63/105
前へ
/805ページ
次へ
"凄まじい魔力の余波"? それってまさか、ミリアの事じゃないだろうな。 ミリアの"魔力解放"によってもたらされた余波だとしたら……。 ウォーレンが感じ取っても不思議はない。 ふむ……。 まぁ、ウォーレンもミリアも良い奴だからな。 2人が出会っても大した問題にはならないだろう。 それよりもだ。 ウォーレンが、ウルバキア方面に居るって事の方が問題だな。 これじゃあ、"竜人"について聞き出せないじゃねぇか。 どのみち、ミリアに"魔給水"を届ける用事もあるし。 仕方ない。 俺も、ウルバキア方面に向かうか。 今すぐにな。 俺がそんな決心をした時。 「まぁ、ウォーレンさんに何を聞くのか知らないけどさ 帰ってくるまで待っている事だね どのみち私達は今、外出が禁じられているんだし こんな時間に出掛ける訳にもいかないでしょう?」 ノエルは、俺の行動を阻止するかの様な事を言ってきた。 そうか。 俺への無茶な捜索をさせない為、外出禁止処置がされているんだったな。 まぁ、俺が帰ってきた事によってその処置は近い内に解除されるだろうが……。 俺は、そんな事を悠長に待っているつもりはない。 つもりはないが……。 そんな事を馬鹿正直に言ったところで、コイツ等が承諾するとは思えないしな。 ここは、素直に従っておく。 フリをしておこう。 後でこっそり、抜け出してやる。 そして……。 俺は二度と、戻ってくる事はないだろう。 「そうか 分かった 待っておくよ」 「うん そうだカズ お腹減ってない?」 「は?」 「カズが居ない間、何もできなくて手持ち無沙汰だったから、私料理を勉強してみたんだ ご馳走してあげるよ」 「ほう ソイツは楽しみだ」 よしよし。 うまく従っているフリができている。 コイツ等、何も気付いてない。 と、俺は内心ほくそ笑んだ。 その時。 「………… カズ? 今、何を考えていたの?」 突然、ノエルは神妙になってそう尋ねてきた。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加