相違

70/105
前へ
/805ページ
次へ
ちょ……! 待て待て待て! 俺、逮捕されたの!? 自衛隊員が逮捕されるとか、シャレにならねぇぞ! 俺は、その不当性を訴えた。 「おい! 冗談じゃねぇぞ! それが、命懸けで助けてやった俺に対する仕打ちか!?」 すると。 「確かにカズには、これまで助けられた だからこそよ」 ノエルは意味不明な事を言い出した。 「あ? 何を言ってやがる?」 「今度は私達がカズを助ける番 これは、カズを助ける事に繋がる筈」 はぁ? 冗談も休み休み言え。 俺の今の状態を見て、よくも助けるなんて事が言えるな。 俺が困惑していると。 「そうよカズ きっと、レイナ様が言っていたのはこれの事だったのよ」 ティナがそう説明してきた。 ん? なんで、今レイナの名前がでてくるんだよ。 レイナの奴、なんか言っていたか? 「どういう事だ?」 「もう忘れたの? レイナ様が予知していたでしょう? カズの未来に不穏な影が視えたって」 あー。 そういえば、そんな事を言っていた様な。 そうか。 コイツ等は、その不穏未来が俺のニルヴァーナに対する復讐だと思っているのか。 チッ……! 馬鹿馬鹿しい! 「そんな理由で俺を拘束したのか!? ふざけるな!!」 「それも理由の一つという事よ どのみち、カズは査問会に引き渡す そこで、自分の考えを悔い改めなさい」 くっそ! コイツ等……。 どうしても、俺を開放する気はないらしい。 だったら、力ずくでこの"光輪の枷"を外してやる。 俺の経験上、ティナの"光輪の枷"は、それほど拘束力がない筈だ。 今まで、あらゆる魔物を拘束していたが、どれも簡単に抜け出されていた。 それなら、俺だって。 そうと決まれば、俺は体に力を込めた。 「ぐぬぬ……!!」 "光輪の枷"を外そうと力む俺に、ティナは呆れながら言った。 「無駄よ 魔物ならともかく、人間のカズにこの魔術をどうこうできる術はない」 「それはどうかな?」 強がる俺だが……。 これは……。 マジで、硬てぇ……。 外せる気配がまるでない。 「くそ!! 離せ!!」 気付けば俺は、そう叫んでいた。 「それは聞けないわ カズ 大人しく、私達に付いてきなさい」 ふっざけんな!! 「離せ!!」 「無理よ」 「離せ!!!!」 「聞けない」 その時。 俺は何故か、落ち着きを取り戻した。 「離せ」
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加