相違

72/105
前へ
/805ページ
次へ
俺のその発言に。 「魔術!? え、でも カズには魔力がなかった筈じゃあ……?」 と、ノエルは俺に対する疑問を尋ね。 「そんな事より! こんな魔術、聞いた事もないわよ!?」 ティナが魔術の性質について、尋ね。 「おいおい!! そもそも、杖なしで魔術を発動できるものなのか!?」 ガルムが根本的な疑問を尋ねてきた。 ククク…… エラい困惑様だな。 この混乱に乗じて、逃げる事もできるが……。 今は、気分が良い。 教えてやるか。 「驚いたか? 俺にも魔力があったんだよ」 「そんな…… 一体、どんな魔力なの?」 「この魔力の属性は"闇"だ」 俺はノエルの問い掛けに、そう答える。 すると。 「"闇"……ですって?」 ティナが、性質について聞いてくる。 「あぁ、そうだ "闇"の魔力は、人間にしか持ち得ない魔力でな 杖なしで発動できるのは、そんな密接な繋がり故だ」 「なによそれ! "人間"特有の魔力って事なの!?」 「あぁ それも、俺の様に地球の住人――つまり "本当の意味での人間" にしか持ち得ない魔力だ 他人の魔術を奪うなんて、実に人間らしい魔力だと思わねぇか?」 俺は自分でも驚く程、ペラペラと説明できた。 まぁ、"闇"については、ミリアに教えてもらっていたからな。 ミリアに聞いた事を、今の状況に当てはめただけだ。 どうやら、これが"闇術"らしい。 って事は、あの時。 ガルムの父親に、止めをさした時だ。 その際に、ミリアの魔術が使われたのも、俺がこの闇術を無意識に使っていたのが原因だったのか。 じゃあ、やっぱりガルムの父親を殺したのは、ミリアではなく俺って事になるな。 …………。 まぁ、いいか。 それより、魔術には術名が必要だ。 この闇術に術名を付けるとしたら……。 そうだな……。 人間の業らしく。 「これが "闇術"『略奪』だ」 とでも、言っておこう。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加