相違

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「じゃあ…… やっぱりこの"光輪の枷"はカズの仕業なのね!?」 ティナの再確認に、俺は応えた。 「まぁ、そういう事だ 俺を捕まえられなくて残念だったな」 と、挑発してみたが……。 いつまで効果が続くか、分からないしな。 恐らく長くは保たないだろう。 今の内に、さっさと立ち去るか。 「じゃあな」 三度、俺は去ろうとした。 だが……。 「魔術が通用しないなら、物理的に拘束するまでよ!!」 ノエルがそう言った。 ふむ……。 考えたな。 なかなか利口な思考回路だ。 俺の闇術、"略奪"は、魔術のみ作用するみたいだし。 普通に取り押さえられたら、そこまでだ。 だがな。 女のノエルの力で、俺を抑えられるかな? なんて、慢心していた時。 ノエルは続ける。 「ガルム!! カズを抑えて!!」 「おう!! 任せろ!!」 …………。 ガルムが来やがった。 これは無理だわ。 規格外な馬鹿力を有しているガルムに羽交い締めでもされたら、もはや脱出は不可能だろう。 チッ……。 やむを得ない。 俺は、ガルムとノエルの行動を抑止する事にした。 その手段は簡単だ。 闇術など大層なものに頼る必要もない。 ただ、"コレ"を向ければいい。 俺は、ホルスターから拳銃を抜き取った。 片手で構えて、銃口をガルムとノエルに向ける。 そして言った。 「動くな」
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