相違

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俺に銃を向けられたガルムは。 「くっ……!!」 悔しそうな声を漏らし、立ち止まった。 ほぅ……。 流石にそこは馬鹿じゃなかったか。 学習能力はあるみたいだ。 決闘をした時には、構わず突っ込んで来たが……。 それは、銃の恐ろしさを十分に知らなかったからだ。 だが今はどうだ。 銃の存在に畏怖し、動けないでいる。 そんな行動がとれるのは、ガルムが銃の性質を知ったが故だろう。 ざまぁねぇな。 すると。 「カズ!!」 次はノエルか。 「おっと、お前もだよ」 俺はノエルにも銃を向ける。 「うっ……」 ククク……。 面白い程、止まってくれるな。 流石は、銃。 最強の攻撃手段の座は変わらずだな。 俺が2人を脅している時。 「マ、マスター!? 一体なにを!?」 リコが血相を変えて、尋ねてきた。 まぁ、リコに血相なんてないんだが。 雰囲気はそんな感じだ。 俺の意向に対し常に従順なリコも、流石に焦ったらしい。 だが、安心しろ。 なにも、発砲する訳じゃない。 だって……。 弾丸は残り2発だ。 コイツ等如きに使うのは勿体無いからな。 そう。 これは、脅しだ。 本気じゃない。 その思惑をコイツ等に感づかれる前に、立ち去らねば。 でないと、今度こそ拘束されてしまう。 「リコ いいから来い」 俺はじりじりと、後ずさった。 「は、はい……」 リコも俺に付いて来る。 その時だった。 「あ、あれ? 魔術が解除されたわ!」 ティナを縛っている"光輪の枷"が、霧散し消え失せた。 やはり、長くは保たなかったな。 くそっ! これで邪魔者は3人か。 俺は確実に逃れる為、ある手段の実行を試みる。 「リコ! "透化"だ!」
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