相違

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俺の要求にリコは。 『了解しました 地図の照会と、目的地までルートを印します 徒歩での所要時間と、 "透化"の効果時間も表記しておきましたので、併せて参考にして下さい』 そう、文字で伝えてきた。 その後直ぐに、リコの液晶画面は切り替わり、周辺の地図が表れた。 その道筋に、赤字でルートが印されている。 徒歩で辿り着くまでの所要時間は……5.00 "透化"が解除されるまで効果時間は……3.00 か……。 ふむ……。 少し急いだ方がいいな。 俺は行動を開始した。 その時、コイツ等は。 「まだ、そう遠くへは行っていない筈だ!! 手分けして捜すぞ!!」 ガルムがそう言って騒いでいた。 遠くへ行ってないもなにも、まだどこにも行ってねぇよ。 そんな暴走気味のガルムに、ノエルは。 「待ってガルム カズが壁外にでるつもりなら、門を必ず通る筈よ! 先回りして、門を封鎖しましょう!」 そう提案していた。 理に適った冷静な判断だ。 まぁ、無駄だがな。 そしてティナは。 「じゃあ、アナタ達は門に急いで! 私は、"探知魔法"を使える人をギルドから呼んでくるから!」 別の提案をしていた。 俺の居場所を、匂いで分からないなら、魔術を使おうという魂胆か。 コイツ等は、色々な策を試そうとしているらしいが……。 残念ながら、いずれの策も"抜け道"を使う俺には通用しない。、 それに費やした努力は全て無駄になるだろう。 じゃあな。 お前等と過ごした日々。 なんだかんだで、楽しかったぜ。 俺は心の中で、そう伝えた。 実際には、伝えられていないが。 それは仕方ない。 俺は地下水路に向かって、歩を進めた。
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