相違

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地図に印されたルートの通りに、進んで行く。 視界が遮られている為、移動に難儀したが。 しばらくして俺は、誰にも見付かる事なく、無事に地下水路に辿り着いた。 足首にまで伝わる冷たい感覚で、それが流れている水だと理解した。 歩を進める度に、液体特有のバシャバシャという音が、空洞内に響き渡る。 これじゃあ、"透化"している意味ないな。 なんて思った時。 俺の視界が徐々に開けた。 「マスター "透化"が解除されました」 そのリコの報告で、俺は"透化"の効果が切れた事を理解した。 思ったより、早かったな。 まぁ、ギリギリ地下水路に到着した事だし、タイミング的にも良い感じだな。 地下で人と遭遇する事はないだろう。 後は、この地下水路を進むだけだ。 そうすればいずれ、繋がっていると言われるニルバニア壁外の川に出られる。 出てしまえば、後は自分の目的を成す為に行動するまでだ。 ニルヴァーナをぶっ殺す、という目的をな。 首を洗って待っていろ、ニルヴァーナ! 俺は歩を進めた。 そして、しばらく進んだ時。 「マスター…… 本当によろしかったのですか?」 リコが俺を諭す様に、何かを聞いてきた。 「何がだ?」 「皆様の事です あんなにマスターの身を案じてくれていたんですよ? それに……」 また、それかよ。 リコもしつこい奴だ。 っていうか。 「それに?」 「それに 私だって、本当はマスターに危険な事をして欲しくないんです いくら憎いからって、あの化け物を単独で伐つなんて無謀過ぎます 今からでも、引き返しましょう こんなの、マスターらしくないですよ」 は? 俺らしくないだと? 何言ってんだコイツ。
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