相違

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しばらく進んだ時。 「――!! マスター! 前方に熱反応が一つあります! 警戒して下さい!」 リコが突然そう叫んだ。 は? 地下水路に熱反応だと? 何か、熱を発生させる物でもあるのか? 薄暗くて、よく見えない。 「距離は?」 「約10mです! こちらに近付いてきます」 な……!? 近付いてきているだって!? って事は、生き物か!? 「魔物か!?」 「い、いえ…… この反応…… 恐らく正体は人です!」 ん? 人? こんな地下水路に人なんか居たのか。 ふむ……。 疑問に思いながらでも、前に進むしかなかった俺は、歩を進めた。 すると、徐々に人影が見えてきた。 確かに、リコの言う通り人の様だな。 俺は立ち止まり、その人影に話し掛けた。 「誰だ?」 すると。 「もしやかと思って来てみれば、案の定だったわ」 その人影は、そう返してきた。 っていうか……。 この声……。 間違いない。 しかし、何故俺の居場所がバレた? 俺は人影の正体に気付いて、うろたえた。 が、極力冷静を装い尋ねる。 「こいつは驚いたな 何故、俺の居場所が分かったんだ?」 そんな事には、お構いなしに人影は俺に更に近付いた。 そして、人影は姿を露わにして俺を睨み付ける。 「言ったでしょう? アンタは行かせないって」 俺も一瞥を返して、その者の名前を呼んだ。 「参ったぜ まるでストーカーだな ノエル」
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