相違

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…………。 え? なんだって? ノエルの奴、今なんて言った? なんて、聞き逃したフリをするのは簡単だ。 が、モロに聞いてしまったからな。 そうだったのか。 ノエルの奴、俺に惚れていたのか。 まぁ、意外ではない。 だって、この俺だしな。 なら男として、きちんと応えないとな。 そのノエルの告白に。 「え、えっと…… へぇー……」 あれ? 俺は内心の意気込みとは裏腹に、かなり動揺していた。 ノエルは続ける。 「ゴメンね、リコちゃん 抜け駆けする様な真似をして」 なんで、リコに謝っているんだよ。 言ってる意味も分からねぇし。 「い、いえ……」 リコもなんか、分かった風に答えてるし。 ノエルは俺に話し掛ける。 「カズ」 「ん?」 「今、私がこんな事を言ったのはね カズと、もっと一緒に居たいからなのよ? だからお願い! どこにも行かないで!」 …………。 あー。 なるほどな。 察したわ。 「そういう事か」 俺はノエルの思惑を理解した。 俺のその発言に、ノエルは。 「そうなの! だから、一緒に戻りましょう? 査問会では弁護してあげるし、それが済んだらまた皆で仕事しようよ!」 ノエルの慈愛に満ちた発言。 俺を、どこにも行かせたくないという意思が伝わってくる。 だが……。 「ククク……」 ノエルの思惑に気付いていた俺は、可笑しくて笑いがこみ上げてきた。 「アッハハハ!!」 気付けば俺は大笑いしていた。 そんな俺に、当然ノエルは引いていた。 「カ、カズ……!? 何が可笑しいのよ!!」 俺は笑いによって生じた涙を拭いながら、応えた。 「ノエル お前も随分と"人間らしく"なったじゃねぇか」 「え……?」
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