相違

84/105
前へ
/805ページ
次へ
いい加減にうんざりしてきたので、俺はノエルの告白をあしらう。 「あー、はいはい どうやら俺達は分かり合う事はねぇみたいだ」 それは当然かも知れない。 俺とノエルでは生きてきた境遇が違う。 所詮、住む世界が違うんだ。 そう、文字通りな 俺がそう言うと。 「なんで…… でも、私がカズの事を好きなのは、本当なのに」 「仮に、本当に俺の事が好きだとしても それは、俺個人に対する想いじゃない 俺の"強さ"に惹かれた単なる憧れに過ぎない」 「え?」 そうだ。 ノエルは、俺の持つ戦力をあてにしているんだろう。 人間という人種に劣等感を感じているノエル。 その劣等感から開放できる手段が、俺の持つ強さだ。 だから、俺の強さに惚れ、俺の強さを逃したくない。 それ故の告白だ。 だが。 「だが、あてが外れて残念だったな 俺の強さは、もはや無くなりつつある この拳銃の弾数はもう無いに等しいからな」 すると。 「そんな事はどうでもいいって言ってるでしょ!! カズの面倒なら私が見てあげるから! だから…… 行かないでよ……」 おっ。 マジか。 意外な返答だな。 まぁ、演技の内だと考えれば妥当の返答か。 それより、ヒモにしてくれるって? ふむ。 悪くない。 悪くないが……。 「それは無理だな ニルヴァーナをぶっ殺したら戻って来るよ その時に頼むわ」 「待ちなさい!! ニルヴァーナ様は殺させない!!」 言ってノエルは、短剣を握る手にぐっと力を込めた。 どうやら、やる気らしい。 久々のバトルだな。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加